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禁断の市場

2008年07月21日 23:13



禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン


「フラクタル幾何学」のマンデルブロの本。内容はマンデルブロ本人や他の人の本などで読んだことがあるものも多かったが、「これを認めさせるためにこんなことをした」とか「今でもお互いの意見が食い違っている」など、マンデルブロの仕事に対する熱意の強さが伝わってくるエピソードが多かった。(とはいえ、以下のメモはそのような部分とは関係ない)

・第2章 運を決めるのはサイコロか?弓矢か?
  ー無限に続く壁を目の前にして目隠しして弓矢を打ったとき
   壁にかけられた的と弓矢が当たった場所の距離の分布は
   コーシー分布になる。
    →コーシー分布は極端に外れた値を含む分布
 
・第3章 バシェリエの功績
  ーバシェリエの博士論文は「投機の理論」
    →初めて確率の考え方で市場の動きを説明しようとした
  ーファーマの効率的市場仮説
    →理想的な市場においては証券価格は関連する情報すべてを
     反映したものである。

・第4章 金融工学の楼閣
  ーマーコヴィッツ リスクの定式化
    →平均値と分散でリスクを定式化
  ーマーコヴィッツのポートフォリオ
    →銘柄ごとの共分散を考慮
  ーシャープからマーコヴィッツへの問い
    Q.「市場の参加者がすべてポートフォリオ理論に従って
      株式を売買するとどうなる?」
    A.「市場参加者全員に対して一つのポートフォリオしか
      なくなる」→インデックスファンド
  ーシャープの資本資産価格モデル
    ・市場全体の動向による影響を表すβによってリスクを評価する
  ーブラック・ショールズの公式
    ・リスクに値段を付けるための公式
 
・第5章 金融工学の落とし穴
  ーブラック・ショールズのオプション価格付けに使われている
   正規分布の過程によれば、ダウジョーンズ工業平均株価において
   5σを超える変動は7000年に一度しかおこらないはずだが、
   実際には3~4年に一回起こっている。

・第7章 凸凹の研究ーフラクタル入門
  ー社会におけるフラクタル
    ・南ザンビアのバイリ住居の空中写真
     村がフラクタル的な階層構造となっている。

・第8章 綿花価格のミステリー
  ーパレートの所得分布
    ・戦前は「理論的な全体主義者」と言われていた
  ーL-安定な分布
    ・レヴィによって示された、新しいメンバーを追加しても
     分布がかわらない分布

・第9章 長期記憶ーナイル川から市場まで
  ーイギリスの水理学者ハーストがナイル川にダムを造る際
   どのくらいの高さのダムを造ればよいか?という問題に
   取り組んだ。
    ・水位の変化がランダムウオークであれば、変化の幅は時間の平方根
     になるはずだが、実際にはそれより少し大きい0.73乗になる
     ことが(いろいろな河川のべ5000年分のデータを使って)分かった。
    →変動の広がりにに寄与する時間の指数をハースト指数と呼ぶことにする

・第10章 ノア、ヨセフ、そして市場のバブル
  ーバブルの発生 例えば小麦の価格が悪天候であがっているような
   場合を考えると、「さらに悪天候が続き、価格が上がる可能性」が
   考慮され日ごとに価格が上がっていく。ある日天候が好転すると
   オーバシューティング的に価格が下がる。

・第11章 トレーディング時間のマルチフラクタル
  ートレーディングルームを見ていると、とても忙しい時間と
   そうでない時間があることが分かる。それぞれスケールの違う
   トレーディング時間を持っているかのようである。
  ーブラウン運動の母親と、マルチフラクタル時間の父親を掛け合わせて
   (つまり時間のスケールを変動させて)作成したランダムな時系列を
   市場のモデルとする。
  ー一方、GARCHモデルはボラリティが履歴に応じて変化する

・第12章 禁断の金融10か条
  ー乱流に関する研究で、潜水艦にマイクをつけて乱流の中を
   進むときの音を記録したが、このテープは早回ししても
   同じように聞こえた。

・第13章 実験室にて
  ー市場価格から逆算するインプライドボラティリティは
   行使価格に対して一定になるはずであるが
   実際には行使価格に対して減少関数になることが観測される。
  ーモルガンスタンレー社では「分散ガンマ過程」という
   マンデルブロの「マルチフラクタルなトレーディング時間」と
   近い考え方を使っている







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対称性

2008年07月15日 02:28



対称性―レーダーマンが語る量子から宇宙まで

全体を通した感想:「対称性」だけを手に、現代物理学の話題を分かりやすく説明している。

・第5章 ネーターの定理
  ーここで「対称性があれば保存量がある」がでてきて、今後この本の中で
   繰り返し使われる。
  ーたとえば 運動量保存=物理法則が空間の並進に対して対称

・第6章 慣性
  ーファインマンの子供の頃の「父親に慣性を教えられたとき」
   のエピソード(慣性は気づかれにくい)
    →現代に比べて古代は摩擦のない運動などは
     考えられるはずがなかったのでアリストテレスでさえ
     「運動しているすべてのものは静止する」と言った。
    (木製の荷車に重い石を乗せて
     うめき声とともに運んでいた時代)

・第8章 鏡映
  ー鏡映に対して不変でない性質を手型性という
    ・右ねじを鏡にうつすと左ねじになってしまう
    ・ただし、右ねじと左ねじはどちらも物理的法則に反した所は何もない
  ー一方地球上の生物に見いだされる糖分子は右旋回性
    ・生物のようなマクロな系では対称性が破れている
  ー今自分が見ているものが鏡映でないとは分からないので、
   鏡映に対しても「右ねじの法則」をつかうしかない
  ー運動方向とスピンの方向が同じであることを「ヘリシティが正」という
  ー著者レーダーマンがパイオンの崩壊で発生するミューオンの
   ヘリシティを計測したところ、「ヘリシティが負」のものしかなかった。
    →対称性の破れ?
  ーミューオンを反ミューオンに変え(C)て、鏡映を見る(P)と対称性が
   保たれる。CP対称性。
  ーただし、1964年の「フィッチ/クローニンの実験」と呼ばれる
   中性K中間子に関する実験ではCPが保存されないことが分かった。
    →「弱い力」の物理学ではCPが保存されない
  ー量子力学からの要請として全確率の保存を考えるならCPTは保存しなくては
   ならない。(Tは時間反転)
    →今のところCPT対称性の破れを報告する実験結果はない。

・第10章 量子力学
  ー交換対称性
   粒子x1とx2を入れ替えても確率が変わらないなら
    |ψ(x1, x2, t)|^2 = |ψ(x2, x1, t)|^2
   以下の二つの解が考えられる。
    1: ψ(x1, x2, t) = ψ(x2, x1, t)
    2: ψ(x1, x2, t) = - ψ(x2, x1, t)
   1がボソン、2がフェルミオン
  ー1の場合x1=x2が可能
    →同じ場所に複数の粒子があってもよい。
     むしろ確率的に見るとそのような状態が多くなる。
      ・ボーズアインシュタイン凝縮
  ー2の場合x1=x2は不可能
    →同じ場所に複数の粒子があることはない
      ・パウリの排他律
    ーある系の中で二つの粒子を交換することは
     系を180度回転させることと同等

・第11章 光の隠れた対称性
  ー電荷が保存しているということはなにか対称性があるのではないか
    →決して直接計測することのできない、ゲージ場の存在を仮定する
  ー相互作用を表現するためにゲージ場は有用。電子の波動関数の
   決して観測できない「位相部分」の変化とゲージ場の変化(ゲージ粒子の
   放出)を合わせて運動量保存を説明する。
  ーQEDでは反物質を「負エネルギーを獲得して時間を逆方向に進む物質」
   と再解釈
  ーファインマン図では2つの結節点を追加すると1/137だけ精度が向上する。

・付録 対称操作群
  ーS_3 正三角形に対する対称操作の群 回転、鏡映あわせて6とおり
    →頂点の置換だと考えていると、正方形の場合を考えたときに
     違うことが分かる。
  ーU(1) 円に対する対称操作の群 無限
    →どんなに微小な円の回転も対称操作なので連続的な操作がすべて
     元になる。
    →回転は一方向なので一つだけ「生成子」を考えることができる。
  ーSU(2) 球に対する対称操作の群 
    →exp(iTxθx + iTyθy + iTyθy)
    →複数の操作を上記方法で展開して微少量について比べると
     それぞれの操作が非可換であることがわかる
   




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